プロのイラストの適正価格って?

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テレビで紹介されたソーシャルソーシング系の話から、プロのイラストの適正価格について物議が醸されています。まぁ繰り返し出る話題ですね。

プロのイラストの適正価格って?

テレビ番組のあさイチで紹介された話のようですが、その番組自体は見れてません。周辺のツイートで憶測してみましょう。


まぁなんとなく内容は推測できますね。
イラストの仕事があって、以前は1点30,000円だったのをソーシャルソーシング的に主婦に発注したら2,500円でした、安く出来てよかったね、という話のようです。
これについてはプロのイラストレーターを中心に危機感とも言えるツイートがかなり出ていました。

この手の話は都度出てきますが、今回はテレビが発信源のためかなり拡散している模様。
毎回この話はどうしても労力の対価的な方向にいってしまいますね。作品を作る時間がこれだけなら安くていいじゃん、的な。それに対してそのレベルに達するのにどれだけ時間をかけたと思ってるんだ、的な。
この意識のズレをうまく表現したツイートもありました。
これは面白いw

適正価格は不変ではない

この議論の中で1つ違和感があるのは、2,500円だと合わない、とか、3万取れるのに損してる、とか、そういう論調があること。
プロがイラストを描くのであれば30,000円でないと、というのは現在は否定する理由はないと思うのですが、じゃぁそれが未来永劫不変か?というとそうではないと思います。
なぜなら色んな物の価格・対価は、やっぱり需給で決まっていくものだから。

例えばパソコンの価格なんかはすごく分かりやすい話です。国内メーカーが20万も30万も価格設定していたのに海外メーカーが半分以下の価格で販売するようになって一気に崩れていきました。
最近だとスマホのメーカーもAppleを除けばそんな感じですね。国内メーカーはほぼ全滅、中国・台湾などのアジアメーカーに駆逐されています。

こちらは製造の話ですが、イラストレーターを始めとしたサービス系の業種のプロフェッショナルについても、最近進歩が著しい人工知能、AI分野の台頭で職業として成り立たなくなる、という観測も出ています。

ならば弁理士自ら代替事業に乗りそうという動きが出始めた。五味和泰弁理士は米国留学からの帰国後の昨年、ベンチャー企業を設立。AIを用いた商標登録サービス「cotobox」を9月に始めた。顧客は同社サイトで商標にしたい文言が登録できそうか調べたり出願したりできる。料金は対面で発注する場合の4分の1という。

AI時代のサムライ業(上)代替の危機 新事業に挑む 弁理士、商標サイトで起業/司法書士、M&Aなど仲介も :日本経済新聞

AIで厳しくなるであろう弁理士業務を先にAI化して弁理士自身が1/4の価格で提供している、という話。これなんかはイラストの話に極めて近い話だと思います。
対面発注じゃないので1/4、つまりプロの時間を直接使わない形なら1/4で提供してもいい、と弁理士自身が言ってるわけで、結果的に弁理士は高単価高難易度の案件に集中でき、そうでないものは自動で処理されていく、ということです。

イラストの場合はどうなるか・・・?
AIでイラスト、というのもそんなに遠くない未来にありそうな気もしますが、その前にアジアのイラストレーターが日本の案件をこなせる様になってくると普通に価格破壊が起こります。
既に制作会社系は制作部隊はオフショア化しているところも多いですが、海外の制作会社が直接国内に案件を取りにくれば更に価格は下がります。物価が違うのでここは強烈です。

もともとの議論だった「適正価格」は暗に「そのクリエイターが日本の物価で暮らしていく」事を前提にしているので、その前提圏外のファクターが入ってくると途端に崩壊します。
今回の主婦もバイト感覚だそうなので実はほぼ前提圏外です。

そういう意味では今回の件で暗に前提としてある適正価格ってなんだろう・・・?というのはよく考えないといけないかな、と思います。

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